Ver.2.00


YS11は眠気を誘う…(02/3/12)




早朝、3月にもなるとモノレールの車窓も明るさが増し、季節の移り変わりが感じられる。心なしか利用者も増えたと感じる車内は、席のほとんどが埋まっている。
バーゲンチケットの旅(?)、今日の目的は、国産プロペラ機-YS11-に記念搭乗すること…。搭載機器(衝突回避装置)の問題で、あと2年位で国内路線から姿を消すといわれている。利用区間は伊丹−松山間で、四国の山並みが楽しめそうな雰囲気…。天気予想も良好。
AM6:00でも羽田空港は早朝便を待つ人たちで混み合っている。前回、手荷物検査を通った後、ホットミルクティーが購入できなかった経験から、自販機コーナーで1本調達。問題なくセキュリティー・チェックを通過して指定ゲートへ向かうと…、スポットには青Dィズニー。小さいヒコーキに乗るのに、ギャップを楽しもうと747をワザワザ選んだのが裏目に…。まぁ乗り込んじゃえば一緒だけど…。しかし、JAL伊丹行きの始発で搭乗客が多い上、女・子供が、記念写真を撮ろうとしてたりして、平日にも関らずかなりウザい。アナウンスがかかる前から行列に参加し、サッサと機内へ向かう。席は後方窓際で、珍しく窓枠もばっちり(?)だった。ほぼ満員の乗客を詰め込み、デカイ機体が後方へ動き出す。タキシングの後、A滑走路を南向きに加速。Aの席だったので、富士山上空を期待したのだが、予想に反して海沿いのコース(海しか見えない…)。ただ、紀伊半島に差しかかかると、山頂を雪に被われた山並み(金剛山系?)が見えたりして、結構な眺望。特に大揺れを感じることなく着陸した。 次のフライト(AM11:00)まで、元旦にも利用した展望デッキ。風も無く、見物&写真撮影もそれほど苦にならない…。



発券されたチケットをよく見ると、JACでは機内サービスは行っていないと記載されている。少し空腹感も覚えるので、カップスープをすすりながら、30枚程撮影して搭乗口へ向かう。できれば、着陸するYS11を撮影したかったのだが、飛んで来ないのだから仕方がない。それも、伊丹空港最奥の24番搭乗口に向かう途中、既に出発準備をしている機体が目に入り納得した。


しばし、30年物の機体を間近に見学。ピポット周辺の錆も気にはなるが、こんなのが時速400Km位で空中を移動するのが、俄には信じられない。そうこうしているうち、松山行きの前に離陸するはずだった、隠岐行きのサーブが、飛行に差し障りがある障害によって運休。搭乗予定者には、2時間後の次便への振り替えと食事券を進呈するとアナウンスが聞こえてきた。この後のフライトに対する若干の不安を、“乗客少なくて採算取れないから、ワザと運休したんとちゃうんか?”などと、悪態をついて必死に否定している自分がいる(笑)。ちなみにサーブ340は、トラクターみたいな車体に牽引され、ハンガーへ行き、緊急整備をするでもなく、スポットとは少し離れたところに普通に止められた。
搭乗案内直前のロビーには、ホント乗り切れるのか?と思えるくらい、人が溢れている。搭乗案内がかかり、徒歩でYS11へ向かう。

連れでもいれば、機体をバックに記念写真を撮りたいところ。意外な程デカいプロペラの前を、二段ベットの上段に上がるようなハシゴで機内へ。入り口のドアが異常に低くて、前のおじさんが頭をぶつける。オカノもかなり気をつけて首を屈めたが、それでも足りずに、出迎えのスッチーさんに深々とご挨拶状態…(推定高160cm)。機内も…、ん〜ン、大丈夫か? といった感じ。細かい点を指摘すると、左右2列のシートは薄汚れ、一部表地が薄く、破れかかっている感じ。窓にはカーテン(コレもあまりキレイではない)。5Aの席につくと、ひじ掛けには、接着剤ですき間を塞ぎ、利用できなくなっている灰皿。思うに…、この機体のどこか一部分でも新品に替えると、そこが目立ちすぎてどうしようもないので、そのまま使っているんじゃないかと深読みしてしまう位レトロ&クラシカル。正直、この状況を目のあたりにしてしまい、度胸を決める。ほぼ満員の乗客を乗せた後、ハシゴが収納されドアクローズ、この席の間近に見えるプロペラがまわり出す。もしかしたら、ココは特等席かもしれない。主翼から大きく前へ取り付けられたプロペラエンジンの様子と下の景色、両方楽しめるからだ(プロペラが破損したら自分が顔を近づけている窓に刺さりそうで少し恐い)。エンジンの音が高まり、YS11はタキシングを始める。すぐ側の席なので、もう少しうるさいかなとも思ったが、それほどでもない。さっきまで撮影をしていたターミナルの前を、手前のL滑走路の端まで堂々(?)と、自己主張の後、エンジン音が一段と高まる。わりと容易く加速が始まると、程無く機体が浮いた。左旋回で海上に出る。油の浮いた海面に太陽が反射する。確実に、高度は上がっているのだが、速度は一向に上がらない。ジェットのスピードしか体験したことのない目には、なんとも“のんびり”した飛行に感じられる。既に、陽気のよさ(席は日の当たる側)で、眠気すら感じられる位。ボーとしながら、この緊張感のなさについて、ふと、エンジン音のせいだと感じた…。ジェットのキーンといった高周波音と違い、このエンジン音は、図太い低音(ドドドッ)の連続音だからではないだろうか?。クルマに長く乗っている筆者にとっては、ジェットの異質なエンジン音より、プロペラエンジンの音の方が、違和感がないのかもしれない。時々息つぎしたように回転数が落ち込むのには、一瞬、ドキッとしたりするが…。もう一点気がついた事は、時どき『カチッ…カチッ…』と、窓に小石が当たるような音が聞こえる。それが機体の歪みによって生じていることはすぐに判ったのだが、不思議と不安を喚起する音には感じず、筆者にとっては、機体の固さを連想させ、設計の良さを思わせる音だった。
期待していた四国の山並みは残念ながら外れてしまい、瀬戸内の赤潮の海と小さい島を眺めつつ、西へ進んでゆく。ちなみに2名乗務しているスッチーさんは、チケットの表示どおり、ドリンクのサービスは無く、キャンディーのお盆を持って一度まわっただけ(乗務している理由は、客が天井に頭をぶつけないように案内すること?)。
先日通ったしまなみ海道の上空を過ぎ、徐々に高度が下がりはじめる。ただし、松山空港西側からアプローチの左旋回がなかなか始まらない。かなり西側(しかも低空)で滑走路を捕らえ、ここでもゆったりと着陸した。あとは、シャンボも発着できる長い滑走路を一番東のスポット(沖留め&階段)まで、永遠走る、走る。機を降りた際、あらためて眺めると、30年モノの機体は、疲れた様子も見せず、まだまだ現役だと笑う、好々爺に見えた。


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